我慢していたんだね
長男の尿から出る蛋白量は、まだ減ってきていない。血液にとどまるべきアルブミンという物質が、尿から出てしまっている状態ということらしい。
まもなく迎える年越しを前に、病院側も何とか帰宅させたいという思いを感じる。さまざまな手法を用いてアルブミンをとどめるよう努力している。
結論としては、大晦日の朝に点滴でアルブミンを入れ、元日に病院に戻ってアルブミンを入れれば問題ないだろうということになり、1日だけの帰宅が認められることになった。
息子は喜んでいた。嬉しさを全面に出していた。看護師さんが来るたびに隠れたり白目を剥いたりしてまともに応えない息子が、「明日帰るんだよ。みんなでご飯食べるんだよ」と、来る看護師みんなに言う。これまで帰りたいと言って駄々をこねたりすることは全く無かったが、やはり我慢していたんだな、と思う。
我が息子ながら大したものだ。
昨日も病棟に1人。静かな病棟で私にはかなりの悪態をついていたが、「もう帰りたい」とか、「いつまで病院に居なきゃいけないの」などという言葉は一切ない。
病気に関しては非常に冷静に、「今日も蛋白出ていたみたいだね」「この薬飲みづらいんだよなあ」などと言うのだ。
とはいえ、周りの子が退院したり一時帰宅したりすると、なんで自分だけ…という思いにはなっただろう。
そんな息子の思いを考えると、1日だけでも家に帰れるのはとてもありがたいし、嬉しいことだ。
17時。息子が袋におもちゃを詰め込み出した。どうしたのと聞くと、「明日の準備をしなくちゃ」だそうだ。まだ早いでしょ。
そうか、それだけ楽しみなんだね。
いつもより早く寝ようと電気を消し、目をつぶるくせに、全然寝れないようで何度も寝返りをする。
明日が楽しみで寝れなかった自分の子供の頃を思い出す。
決して楽観できる状況ではない。浮腫はいつ出てもおかしくない数値なのだから。
それでも、大晦日は家族で居れる。
長男は弟に会うのを本当に楽しみにしているんだが、すぐに喧嘩を始めるんだよな。頼むから叱らせないでくれよ。まあ、無理だろうけどね。