転院が決まる
長男の転院が決まった。
大学病院への転院だ。私の街の中核病院から、車で3時間。
自分が大学時代を過ごした街だ。
よりによって年度末。こんな時期にと思う部分も多少はあるが、息子のことを第一に思えば、時期は関係ないのだ。
とりあえず妻とは、約1週間おきに交代する形でやっていこうという話にはなった。
向こうに行くと、少し強い治療が待っている。
病室の環境も変わる。
1人部屋ではない。4人部屋だそうだ。
今は好きなものを持ち込んで、やりたい放題やっているがそうはいかないだろう。
主治医も、
「ここだと割と自由が効いていたかもしれないけど、向こうに行くとネフローゼはよくある病気。少し窮屈になるかもしれないよ」
と息子に言っていた。
大学病院では、リツキサン治療というのを行うことになる。
さっとネットで調べたくらいでは、あまりよくわからなかったが、点滴による投薬になるという感じらしい。
聞いた話だと、これまでの予防接種類は全て無しになるくらいの強い薬だという。
それよりも息子の体調にどう副作用などが現れるかが心配なのだが、そこら辺は詳しく聞いてみないと何とも言えないだろう。
転院まで早くて1週間後。
今の状態では蛋白が出過ぎているため、パルス療法で一旦数値を下げたいそうだ。
それで下がれば転院する。
何回も点滴を刺されて、これまでは割とすんなりやられてきた息子も強く拒否するようになってきた。
またやるの。
いつまでこんなことするの。
もう痛いの嫌だよ。
ずっと我慢してるのに。
そんな気持ちなのだろう。
息子の代わりになりたい。
早くこんな日々から解放してあげたい。
そんなことを思う。
努めて平静を装う自分。
顔に出さずに何事もこなすことが、自分の中では格好良いと思っているからだ。
だが、心のバランスが怪しいぞ。
しっかりしなければ。