大学病院へ出発
延期となった大学病院への転院。
ようやく出発となった。
以前決まっていた日程であれば、自分がついていって送り迎えをする形でできていたが、今回の日程は新年度1日目と2日目。
自分の立場を考えれば、流石に休むことはできなかった。
休みたくなくて休まないわけではない。ついていきたかった。
自分という人間は、外面を気にするタイプだ。人からどう見られるかを常に意識してしまう。余裕がないように見られたくないから、つい無理をする。弱音はあまり吐かない。格好悪いと思うからだ。
しかし。
これでよかったのだろうか。立場なんか考える必要があったのだろうか。
いや、自分がいなければ職場の仲間は混乱してしまう。これでよかったんだ。
葛藤は続く。
長男は大学病院でリツキサン治療というものを行う。
かなり強い副作用があり、必ず体調不良を起こすそうだ。辛い治療だ。
本人は大学病院に入る前日は私の実家泊まりになることを楽しみにしていて、笑顔で手を振って出発した。
実際に病院に入ると、きっと緊張で大変だろう。
元々人見知りの激しいタイプだ。慣れるまで時間がかかるが、慣れる前に戻ってきてしまう。
さらに、これまで何度も経験してきた点滴による治療にトラウマのようなものを感じているのか、最近は針を刺すことを極端に嫌がるようになっている。
前は平気な顔をしてやっていたのに、だ。
環境が変わればなおさら嫌なことだろう。
それでも本人なりに最後は意を決して頑張るはずだ。
そういう息子だから。
今回の治療が効いてくれることを本当に願っている。
流石に家族みんなに疲れが見える。
肉体的な疲れというよりは精神的な疲れという感じだろうか。
何より、長男が希望を持てないことには。
「もうすぐ良くなる、大丈夫」
「この治療すればきっと良くなるよ」
何度も繰り返してきた。
それでもなかなか現実は厳しかった。
「いつまで入院すればいいのさ」
こういう言葉を聞くようになった。
今回こそは。その思いが強いのだ。