転職についてじっくり考えてみる
長男の病気について、退院の目処のたたない日が続く。
入院して3ヶ月が経った。さまざまな治療法を試し、経過が良く期待したこともあったが、長続きせずに再発というパターンになりつつある。
妻はSNSで同じ病気の子を持つ母親のアドバイスをたくさん受けているが、治療がうまく行った例とは違う薬の処方のされ方をしている現在の病院に不信感を抱いている。
この状態が続くのであれば、次の手を考えなければならない。
どんなことが考えられるか、自分で整理してみる。
息子の病気について、違う病院の考えを聞く必要があるかもしれない。
違う病院といっても、ここは人口5万人規模の地方の小さな街だ。違う病院となれば、自分の県で言えば、ネフローゼ症候群に一番実績のある大学病院か、私の実家のある街にある県で最も大きな病院くらいしか選択肢がない。
他県に目を移す。ネットで調べると実績のある病院は都市部に集中している。妻は自分が専門学校時代を過ごした愛知県に良い病院があるのでそこはどうだろうと勧めてきた。他県への転居も選択肢に入れて考えてみる。
今住んでいるこの街を離れることについて、自分はどう思っているのか。
これについては、現状の状態であれば何も後ろ髪を引かれる思いはない。
私はこの街が好きだ。それはなぜかというと、自分が自分らしくいられる良い飲み仲間がいるからだ。そして、自分を認めてくれるたくさんの同僚がいるからだ。
しかし、今は自宅、病院、職場の往復だけの生活。
夜出歩けなくなり、飲み友達には当然会えない。体や時間が空いたとしても、感染対策の意味でもできないのはわかっている。
職場では、今は時間内に自分自身の仕事を終えるために必死で、同僚と雑談をする余裕はあまりない。自分の立場が変わったことでできた同僚との距離を、埋める時間も場も無い状態だ。
今現在は自分を支えているものは家族しかない。となれば、この街にいる意味は無いのだ。
では、転院を前提に考えてみよう。
転院を考えた時に、まず考える必要があるのは私たち夫婦の働き方だ。
私たち夫婦は公務員だ。病院を変えるとなれば(まあ変えなくてもこの状態が続くのであれば)、どちらかは退職を考えなければならない。その時どちらが辞めるか。
私は自分が辞めるべきだと思っている。自分はアラフィフだ。歳はいったが、その分勤続年数は長いので、退職金は少しはあてにできる。今後の自分の人生を考えた時に、新しいことを始めるなら、逆に今しかないかもしれない。
私は教員だ。最近は人気がない職種であるから、他県での採用も60歳までといったような県が多いらしい。まあ、受けてもいいが…。
最近読んだ本に書いてあった。50歳から花開く人は「遊ぶように働く人」なんだそうだ。小さな子を持つ私のような人間には当てはまらないかもしれないが、「定年まで我慢して働こう」という意識を持たなくても良い仕事ができればとは思っている。
妻はまだ自分より大分若い。今後いろいろな福利厚生を受ける意味でも、また何らかの機会に融資を受ける場面でも、公務員としていれば有利であることに違いないだろう。
ただ、勤務先を簡単に変えられないのは間違いない。妻は県内の異動であれば希望を出すことは可能だろう。他県となれば新たに採用を目指すことになるが、年齢制限等もあって難しいかもしれない。
とはいえ、まだまだ若いし、柔軟な考えを持っている。例え公務員ではなく他県で仕事を探すことになっても、何とかなるだろう。
さて、自分が一番不安に思っていることは何か。
それは、自分自身の居場所が家族に限定されるということだ。それ以外に頼れるものが無くなってしまうという事に対する不安である。
友達関係は良好だし、今の仕事についても割と自信がある。一番自信がないのは家族からの信頼だ。つまり自信があるものを捨て、自信がないものを残すということになる。
最近は良かれと思ってやることがことごとく裏目に出る。その結果、家族、特に妻に信頼されていないなあと思うことが多すぎるのだ。
妻が私を信じてくれるなら、私は自信を持って踏み出すことができる。