発熱
本来ならばこの日の日記は、長男が一時帰宅をして久しぶりに祖父に会い、嬉しい1日になるはずだった。
夜中、いや朝方か、妻から短いLINEが届いた。
「熱あるかも」
この時点で自分はすぐに切り替え、妻がその日仕事に行きたいのを知っていたので、
「じゃあ朝7時くらいに行くようにするよ」
と返信をした。
切り替えたとはいえ、残念だった。
私の父はもう半年も長男に会っていない。
会わせてやりたかったのだ。
免疫抑制剤を飲んでいる長男。
感染しやすい体の状態にあること、感染すれば今治療しているネフローゼ症候群そのものの悪化につながることもある。
その心配がまず先に来たが、考えても仕方のないことだ。
朝、病院に向かう。
38.2度。熱はやはりある。
食欲も本調子では無いが、それでもそれなり食べていて安心した。
午前9時30分ごろ、回診。
あまり良い話は聞けなかった。
点滴して体調を元に戻しましょう。その言葉は妙にはっきり聞こえた。
息子は黙って聞いていた。
10時頃、看護師さんが
「そろそろ点滴お願いします」
と言って点滴室に戻った。
次の瞬間、息子はうつ伏せになって泣いた。
声を出さず、鼻を啜る音だけが聞こえる。本当に悲しい時の泣き方だ。
私が抱き上げて連れて行こうとすると、今度は声を上げて暴れ出す。
「ぜったいやらない!」
いろんなご褒美も言ってみたが、行かないの一点張り。
1時間くらい格闘しただろうか。
結局暴れる息子を抱っこして連れて行き、看護師さん2人がかりで半ば強引に抑え、点滴したという感じだった。
帰宅できたのに。
せっかくジジとアバ(祖母のこと)が来ているのに。
点滴しなくていい生活が続いていたのに。
小さな体に、そんな思いが覆い被さっているのかと思うと、涙が出る。
息子は本当に頑張っている。
何とか良い方向に進んでほしい。
お願いします。